From: 中原良太
自宅の書斎より、、、
きょうはOKWAVE(3808)が、
暴落した顛末について調べました。
OKWAVEって、どんな会社?
OKWAVEは、こんな会社です↓
OKWAVE(オウケイウェイヴ)は、株式会社オウケイウェイヴが運営しているナレッジコミュニティである。2005年10月17日に「OKWeb」(オーケイウェブ)から改名された。 「OK」とは、Q&Aの流れを表す「Oshiete? Kotaeru!」の略。
フリー百科事典Wikipedia, “OKWAVE”
https://ja.wikipedia.org/wiki/OKWAVE
僕は使ったことがありませんが、
多分Yahoo!知恵袋の亜種かと。
OKWAVEの株価は、
2022年には75.5%も下がり、
2023年も40%以上下落※してます。
※2023年12月06日時点
OKWAVEの株価は、
2022年初から2023年9月までに、
2年弱で88.1%も下がりました。
OKWAVEのチャートはこんな感じです↓
上のチャートを見れば分かるとおり、
見事な「右肩下がり」です。
週足はほとんど陰線なので、
2022年以降に株を買った人は、
大多数が損したと考えられます。
なぜ、OKWAVEは失敗したのか?
なぜ、OKWAVEは失敗したのでしょうか?
同社のIRページを調べてみると、
2022年04月19日と05月06日に、
「債権の取立不能または取立遅延のおそれ
のある取引先への対応に関するお知らせ」
という開示資料がありました。
取引先が潰れたなどの理由で、
多額の損失を被ったようです。
開示資料を見てみると、
次のように書かれていました:
【2022年04月19日開示資料より】
当社は、2021年6月期第4四半期より、当該取引先(訳註:Raging Bull合同会社)に対して資金の運用を委任しており、現時点におきまして、当社の保有資金から運用した金額3,429百万円に加えて、これまで当該取引先の資金運用により受領した利益分となる1,503百万円との合計4,933百万円について、これまで適切に運用されていると認識しておりました。2022年4月18日、当社は、当該取引先の依頼を受けた代理人弁護士より、当該取引先が法的整理を行う方針であり、その債務整理を受任した旨の通知を受領しました。この通知により、これまで当社が当該取引先にて運用した資金について、当社が当該取引先との間の契約で定めた投資運用は行われておらず、当該取引先が、入金された資金を他の投資者への支払いに充てていた(訳註:つまりポンジスキーム詐欺)ことが判明し、当該取引先に対する債権の取立不能または取立遅延のおそれが生じております。
【2022年05月06日開示資料より】
株式会社オウケイウェイヴ開示資料, “債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ”より, 訳註は中原によるもの
当該取引先の債務整理の受任弁護士からの通知によれば、当該取引先は当社との契約にもかかわらず定められた運用をしていなかったとのことであり、当該取引先(その代表者)の行為は刑法上の詐欺罪に該当する可能性が高いと考えております。
開示資料を読んでみると、
同社がポンジスキームによる、
詐欺被害に遭ったと分かります。
上場企業の経営陣ですら、
ポンジスキームに騙されるのかと、
当時、僕はとても驚きました。
補足:ポンジスキームとは?
いちおう、
「ポンジスキームって何?」という方も、
いるかもしれないので補足説明します。
ポンジスキームというのは、
1:たくさんの人からお金を募って、
2:受け取ったお金の一部を
「投資で儲かった利益」に見せかけて、
配当として配り、
3:しばらくして運営元は残りを持って、
トンズラする
という詐欺です。
たとえば
「10人から100万円ずつ募って、
1人あたり10万円を配当として返して、
残りの900万円を持ち逃げする」
みたいな感じです。
出資者は配当を受け取ることで、
はじめは「本当に儲かった」と、
安心させられてしまうのですが、
すぐに胴元はお金を持ち逃げするので、
出資した人が大損してしまいます。
100年前から使い古されている、
詐欺のオーソドックスな手口です。
日本でも20年くらい前に、
「円天」という疑似通貨を使った、
ポンジスキームが話題になりましたね。
ちょっと考えれば分かりそうですが、
いまでも被害はなくなっていません。
突然過ぎる発表に市場は困惑
OKWAVEの一件について僕は、
「投資詐欺の話が突然出てきた」
と感じました。
OKWAVEが詐欺被害を公表したのは、
2022年04月19日が初めてでした。
同資料の中には、
「2021年6月期第4四半期より、
当該取引先に対して資金の運用を
委任しており」
と書いてあったのですが、
「2021年6月期第4四半期」の
開示資料を読み漁ってみても、
しれっと定款に
「各種事業、有価証券等への投資及び運用」
と書き加えただけで、
他のプレスリリースを読んでも、
委託先であるRaging Bull合同会社の
会社名は見つけられませんでした。
僕の確認漏れなのかな…?
自己資本を50億円そこらしか、
持っていなかったOKWAVEが、
目立った開示資料も出さずに、
「外部業者に30億をポンと預けた」
経営陣は株主をナメていると思うし、
あまりにも軽率に見えます。
同社に期待していた投資家は、
寝耳に水で詐欺のことを知り、
詐欺のプレスリリースが出てから、
連続ストップ安で売り場もなく、
株価は3分の1になりました。
せめて「やばそうな兆候」が、
すこし前に垣間見えていれば、
早く逃げられたでしょうに…。
取引先の倒産は、よくある
OKWAVEの場合は、
「ポンジスキーム詐欺に遭った」
という特殊な事例でしたが、
「取引先が倒産してしまって、
債権を回収できずに貸し倒れる」
というのは、結構あります。
それこそ銀行では日常茶飯事だし、
事業会社でもたまに見かけます。
投資先の安全性を調べるときには、
「投資先の取引先が大丈夫か?」も、
調べる必要があるってことですね。
仕入先が1箇所に集中していたり、
販売先が1箇所に集中していたりすると、
貸し倒れたときに大損しちゃいますから、
なるべくそういう会社は避けたいかなぁ。
そもそも、なぜ騙されたのか?
それともう1つ。
僕個人としては、
「そもそも、なんで騙されたの?」
と経緯が気になります。
被害に遭うまでの経緯が分かれば、
もっと前に危険に気づけたかもしれないし、
似ている会社を避けることもできそうです。
気になって調べてみたところ、
たしかに詐欺に遭いそうな、
兆候が2つありました↓
・2018年に暗号通貨事業に参入して失敗
・2020年6月期以降、営業赤字が続いた
東洋経済ONLINEが記事を出してたので、
詳しく知りたい方は読んでみてください。
OKWAVEは詐欺被害に遭う3年前に、
暗号通貨事業に参入して失敗しました。
2018年は暗号通貨ブームの最中です。
本業と関係ない暗号通貨事業への参入は
「流行っていたから便乗しただけ」
にも見えてしまいます。
この失敗だけを見ても、
「経営陣、大丈夫か?」と疑うべきかも。
さらに、
OKWAVEは暗号通貨事業が失敗し、
赤字で切羽詰まっていきました。
詐欺師は赤字になったOKWAVEを見て、
経営陣につけこんだのだと思います。
せめてOKWAVEの株を買うなら、
「営業黒字になるまでは買わない」と
回復を待つこともできました。
いずれにせよ、
同社が詐欺被害にあったのは、
「もともと経営陣の脇が甘かった」
「赤字で詐欺師につけこまれた」
といった経緯があったからかも。
OKWAVEの一件から、
学べる教訓があるとしたら、
「投資がヘタな経営陣に、
お金を預けちゃイカン」
「経営が傾いている会社は、
立ち直るまで買うべからず」
といったところでしょうか。
それにしても詐欺こわいなぁ…。
僕も気をつけないとなぁ…。
– 中原良太
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