粉飾会計で上場廃止したグレイステクノロジーの顛末

2021年に暴落した株
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個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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From: 中原良太
自宅のリビングより、、、

きょうはグレイステクノロジー(6541)が、
上場廃止に至った顛末について調べました。

グレイステクノロジーって、どんな会社?

グレイステクノロジーは、こんな会社です↓

グレイステクノロジー株式会社(GRACE TECHNOLOGY, INC.)は、各種マニュアルのコンサルティング・制作を手掛けている日本の企業。

フリー百科事典Wikipedia, “グレイステクノロジー”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC

つまりマニュアル制作会社かな。

グレイステクノロジーの株価は、

2021年には89.2%も下がり、
2022年に上場廃止しました。

グレイステクノロジーの
チャートはこんな感じです↓

グレイステクノロジーのチャート(引用元:IR BANK)

上のチャートを見れば分かるとおり、
見事な「右肩下がり」です。

月足はほとんど陰線なので、

2021年以降に株を買った人は、
大多数が損したと考えられます。

なぜ、グレイステクノロジーは失敗したのか?

なぜ、グレイステクノロジーは失敗したのでしょうか?

Wikipediaを調べてみると、
次のように書かれていました:

松村(訳註:創業者)の死去から7か月後の2021年11月9日に、不適切な会計処理が行われていたのではないかという指摘が外部からあった。これを受けてグレイステクノロジーは同日に特別調査委員会を設置して調査を開始したと同時に、同年11月15日に予定していた2022年3月期第2四半期決算発表を延期する事を発表した。同年11月15日に提出期限となっていた2022年3月期第2四半期四半期報告書の提出期限を2022年1月17日までに延長する承認を受けた。これを境に、大手企業を中心に顧客離れが発生していった。特別調査委員会は2021年12月26日に最初の調査結果を発表。グレイステクノロジーは2016年3月期より、松村元会長やA元取締役主導の下で架空売上を計上し、その架空取引に係る売掛金を当社役職員の自己資金を用いて仮装入金等していたこと、売上の前倒計上をしていたこと、利益操作目的で架空外注費を計上していたことが明らかとなった。これにより、2016年3月期から2021年3月期までの売上の55%が架空売り上げであったことが明らかとなったと同時に、他のリース案件に関しても会計処理の適切性が疑われる取引が行われていたことが明らかとなった。これは、会計監査人であるEY新日本有限責任監査法人の監査をすり抜けるという悪質なものであった。粉飾決算の発覚により、株価は急落していった。

フリー百科事典Wikipedia, “グレイステクノロジー”, 訳註、強調箇所は中原によるもの
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC

Wikipediaを読むかぎり、

グレイステクノロジーは、
「粉飾会計をしていた」
ことが分かります。

粉飾会計というのは、
会計を使った「詐欺」です。

2022年のOKWAVEは、
詐欺師に「騙された側」でしたが、

グレイステクノロジーは、
詐欺師として「騙す側」で、
より悪質な事例と言えます。

粉飾会計に関する筆者の見解

先にも書いたとおり、
粉飾会計は「詐欺」です。

株主の信用を裏切る悪質な行為です。

しかも、グレイステクノロジーは、
監査をすり抜けるほど巧妙でした。

グレイステクノロジーの例を見ると、
「素人目には粉飾会計は分からん!」
と感じます。

だから、

株を買うときには、
「詐欺師(粉飾会計)に騙されても、
立ち直れるくらいの投資金額」
にすべきと感じました。

(全財産の2割くらいかな?)

粉飾会計の、予兆はあったか?

それともう1つ。

僕個人としては、
「粉飾会計に予兆はあったか?」
が気になります。

詐欺に至るまでの経緯が分かれば、
早めに詐欺に気づけたかもしれないし、
危なさそうな会社を避けられそうです。

気になって調べてみたところ、
3つだけ兆候がありました↓

・成長期の割に異常な収益性改善
・売上債権回転期間の長期化

・決算の延期

日本経済新聞が記事を出してたので、
詳しく知りたい方は読んでみてください。

1つ目の兆候は、
「成長期にしては異常な収益性改善」
です。

一般的な話としては成長期の企業は
「割引しながら売上を拡大して顧客基盤を広げる」
方針を取りがちです。

グレイステクノロジーの場合は、
「売上拡大」と「収益性改善」が、
同時に来ていて違和感があったようです。

2つ目の兆候は典型的で、
「売掛債権の回転期間が長引いてた」
というものでした。

債権や在庫の回転期間が伸びるのは、
粉飾にかぎらず「危険信号」なので、
こっちは有報で気付けたかもですね。

3つ目の兆候は、
「決算を延期する」ことですが、

もはや論外というか最終段階なので、
ここで売れたら「ラッキー」かも。

ほかにも、
「監査法人にも過失があるのでは?」
とツッコミたくなりましたが、

監査法人も人手不足なようで、
見逃すのも仕方ないことかも。

「騙されるのを防ぐ」ことは、
「騙す」より難しいでしょうし…。

監査法人に頼り切りになるのではなく、
自分で気をつける習慣を持ったほうが、
無難な気がしますねー。

グレイステクノロジーの一件から、
学べる教訓があるとしたら、

「粉飾会計はプロでも見抜けない」
「粉飾が発覚したら株価はゼロになる」

(可能性がある)

という2点でしょうか。

業績が絶好調で「スゲェ!」と、
信じ切っている会社から、

粉飾会計が出てくることほど、
怖いことはないよなぁ…。

有望な投資先を見つけても、
過度に集中投資しないように、
気をつけないといかんなぁ…。

– 中原良太

↓続きを書きました↓

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