粉飾会計のグレイステクノロジー、汚過ぎる手口にプロも唖然

2021年に暴落した株
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個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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From: 中原良太
自宅の書斎より、、、

きのう取り上げた
グレイステクノロジー(6541)の
粉飾会計についてですが、

あまりにも汚い手口だったので、
「粉飾会計を見抜くのが極めて難しい」
という自戒もかね、きょうも特集します。

グレイステクノロジーの顛末

グレイステクノロジーの顛末については、
きのうの記事で詳しく解説しました。

今日の記事にも関係していますので、
ポイントを改めてまとめておきます。

グレイステクノロジーは、こんな会社です↓

グレイステクノロジー株式会社(GRACE TECHNOLOGY, INC.)は、各種マニュアルのコンサルティング・制作を手掛けている日本の企業。

フリー百科事典Wikipedia, “グレイステクノロジー”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC

つまりマニュアル制作会社です。

グレイステクノロジーの株価は、
粉飾会計が発覚し下がりました。

グレイステクノロジーの
チャートはこんな感じです↓

グレイステクノロジーのチャート(引用元:IR BANK)

2021年以降に株を買った人は、
大多数が損したと考えられます。

グレイステクノロジーの粉飾会計の手口

ここまでは昨日の記事でも書きました。

きょうはこれから、
グレイステクノロジーの
粉飾会計の狡猾さを説明します。

まずは、同社の大まかな手口を、
Wikipediaで確認しておきます:

グレイステクノロジーは2016年3月期より、松村元会長やA元取締役主導の下で架空売上を計上し、その架空取引に係る売掛金を当社役職員の自己資金を用いて仮装入金等していたこと、売上の前倒計上をしていたこと、利益操作目的で架空外注費を計上していたことが明らかとなった。

フリー百科事典Wikipedia, “グレイステクノロジー”, 訳註、強調箇所は中原によるもの
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC

粉飾会計にはさまざまな手口があります。

業績を「よく見せる」手口としては:

◯架空売上の計上
◯架空資産の計上

◯売上の前倒し計上
◯売上原価の付け替え
◯連結外し
(「飛ばし」とも呼ばれる)

などが挙げられます。

この5項目のうち、
グレイステクノロジーは、

「架空売上の計上」と、
「売上の前倒し計上」の、
2つで粉飾していました。

「架空売上の計上」というのは、
ウソの売上を載せることです。

だいたいの「ウソ」は、
ボロが出てくるもので、

監査法人の目線では、

監査している段階で、
取引先の売掛金残高を確認などして、
帳尻が合わないとバレます。

僕ら投資家目線では、

キャッシュフロー計算書の、
「架空の売上を立てられても、
現金の入金が遅れている」
など、
不審な点が出てきます。

だから普通であれば、

そもそも粉飾しようと思わないし、
単純な粉飾なら監査法人にバレるし、
初歩的なものは投資家にも見抜ける。

と言えます。

しかし、グレイステクノロジーは、
「本気で粉飾会計」していたので、
極めて手口が巧妙で悪質でした。

たとえば、売掛金の監査については、

監査法人が取引先に送った確認状を、
社員が先回りして顧客から回収して、
偽装印を押して返送していました。

ほかにも、

「架空の売上」がバレないために、
ウソの納品物を事業所に用意して、
ごまかしてもいました。

キャッシュフロー計算書については、

社員が取引先を装って入金して、
キャッシュフローを偽装しました。

だいたいの監査法人や投資家が、
「カンタンにチェックできる」箇所は、
用意周到に潰されていました。

こんなん見抜けんわ…。

どうやって、仮装入金したのか?

個人的に特に「汚い」と感じたのは、
仮装入金資金の調達方法です。

グレイステクノロジーは役員たちに、
「ストックオプション」という、
報酬を付与していました。

ストックオプションとは、
「リスクのない株式報酬」
みたいなものです。

ストックオプションの価値は、
業績が伸びて株価が上がるほど、
高まっていきます。

それもあり、上場企業の中には、
経営陣のモチベを高めるために、
導入しているところもあります。

グレイステクノロジーはこれを悪用して、

◯役員たちにストックオプションを付与する
◯何年にもわたる粉飾会計で株価を吊り上げる
◯高値でストックオプションを行使しボロ儲けする
◯利益を入金してキャッシュフローを偽装する

といった悪行を働いていました。

実際、粉飾会計がうまくいっているときは、
グレイステクノロジーの株は盛況でした。

グレイステクノロジーの長期チャート(引用元:IR BANK)

株価はコロナバブルに載って、
2020年末に4000円まで上がりました。

2年後に上場廃止するなんて、
一体、だれが想像できたでしょう?

◆  ◆  ◆

グレイステクノロジーの手口は、
ポンジスキームを彷彿とさせます。

僕ら投資家が学べる点としては、

◯相手がガチだと粉飾は見抜けない
◯世の中には、本当に悪い人もいる

(だから、分散と自衛が大事!)

という2点に尽きるでしょう。

調べながら僕も、
「ここまでやるのか…」と
めちゃくちゃビビリました。

そんなに知恵が働くんだったら、
もっと世の中のために使えよ…。

– 中原良太

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