衰退の五段階⑤〜屈服と凡庸な企業への転落か消滅〜

企業内部による失敗
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個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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From: 中原良太
自宅の書斎より、、、

ベンジャミン・グレアム先生の証券分析では、
「衰退の原因の多くは環境の変化だ!」
と書かれていましたが、

ジム・コリンズ先生は会社内部に目を向けて、
「5段階の危険シグナルがあるぞ!」
と説明しました。

その5段階は以下のとおりです:

第一段階:成功から生まれる傲慢
第二段階:規律なき拡大路線
第三段階:リスクと問題の否認
第四段階:一発逆転策の追求
第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」目次より抜粋

1〜4段階目については、
ここ4日間の記事をお読み下さい:

きょうはこの続きで、

「衰退の五段階」の5つ目、
屈服と凡庸な企業への転落か消滅
について取り上げます。

第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

ジム・コリンズ先生は、

「ビジョナリー・カンパニー③」で、
「屈服と凡庸な企業への転落か消滅」
について次のように説明しています。

組織は第五段階に急速に向かうとき、悪循環に陥って抑えがきかなくなっていく。一発逆転策にすがり、失望し、つぎの策にすがるというサイクルを繰り返すごとに経営資源が失われていく。現金に余裕がなくなる。希望は薄れていく。選択肢は狭まる。

第五段階には基本的に二つの形態がある。第一の形態では、権力を握る人たちがこのまま戦いつづけるより、屈服した方が全体的にみて良い結果になると考えるようになる。第二の形態では、権力を握る人が苦闘を続けるが、選択肢が尽きてしまい、企業が完全に死に絶えるか、以前の壮大さと比較すればまったく重要性のない企業に縮小する

ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」(175, 176ページより抜粋、強調部分は筆者によるもの)

実は「衰退の五段階」には、
敗者復活の余地があります。

第一段階の、
「成功から生まれる傲慢」なら、
傲慢さを改めれば良いし、

第二段階の、
「規律なき拡大路線」なら、
規律を取り戻せば良いし、

第三段階の、
「リスクと問題の否認」なら、
問題を直視し直せば良いし、

第四段階の、
「一発逆転策の追求」なら、
手堅くやり直せば良いです。

しかし、

第五段階まで来てしまうと、
有能な人でも絶好調の頃には、

戻ることができなくなります。

諸悪の根源は「傲慢」

経営者目線で見ると、
「五段階目=もはや手遅れ」
と言えるでしょうが、

僕ら投資家の視点から見ると、
かえって株を買うチャンス
かも。

なぜかチャンスか?というと、
「衰退の五段階目」の会社は、
株が投げ売られやすいからです。

ここが経営者と投資家が違う、
面白い点でもありますね。

ジム・コリンズ先生が言うように、

衰退の五段階のさいごは、
◯傲慢な経営陣が去るか
◯企業が縮小または消滅する

という2つに1つです。

このうち、
後者(縮小または消滅)
の会社は投資不適格でしょうが、

企業が衰退する諸悪の根源は、
「傲慢な経営者」
なのですから、

前者(傲慢な経営陣が去る)の場合は、
V字回復して再生するかも
しれません。

倒産は免れた日産自動車

衰退の五段階を辿った会社の中には、
「好業績」までは戻せないのですが、
「並」程度に回復する所もあります。

その好例が日産自動車(7201)です。

日産自動車は、
日本株バブルが崩壊するまでの、
1990年までイケイケでしたが、

バブル崩壊とともに縮小しはじめ、
1999年にルノーの傘下に入りました。

ここで、かの有名な、
カルロス・ゴーンが、
社長になりました。

ゴーンは徹底的な合理化を進め、
それまで赤字だった日産自動車は、
2022年3月期に黒字化しました。

日産自動車のように、
「合理化すれば回復できる会社」
を上手く目利きすれば、

業績の回復で株価も上がって、
うまく儲けられるかもです。

◆  ◆  ◆

以上、ジム・コリンズ先生の、
「衰退の五段階」の特集でした。

改めて「衰退の五段階」を、
以下に載せておきます:

第一段階:成功から生まれる傲慢
第二段階:規律なき拡大路線
第三段階:リスクと問題の否認
第四段階:一発逆転策の追求
第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」目次より抜粋

5日間、連続で記事を書きましたが、
「自分も同じ失敗をしないように、
気をつけないといかんなぁ〜」
と、
身が引き締まる思いでした。

自分で言うのも悲しいんですが、
僕は人間として「小物」なんで、

成功したら傲慢になりそうだし、
図に乗ってリスク取りそうだし、
問題があれば目を背けそうだし、
熱くなって一発逆転を狙いそうだし、
最後までゴロゴロ転落しそうだし、

いやはや。

ベンジャミン・グレアム先生は、
「投資家の最大の敵は自分自身だ」
なんて言ってましたけれど、

ほんと、その通りだよなぁ…。

ちょくちょくこのブログで書いた、
沢山の恥ずかしい失敗を読み返して、
傲慢にならんように気をつけます…。

– 中原良太

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