From: 中原良太
自宅のリビングより、、、
マイケル・ポーター先生の、
「競争の戦略」によると、
企業の業績が悪化する、
主な要因は以下の5つです:
・新規参入の脅威
マイケル・ポーター著「競争の戦略」目次より抜粋
・既存競争業者の間の敵対関係の強さ
・代替製品からの圧力
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
1〜4つ目については、
以下の記事をお読みください:
今日は5つの環境要因のうち、
「売り手の交渉力」について
取り上げます。
業績悪化の環境要因⑤:売り手の交渉力
ポーター先生は、
「競争の戦略」で、
売り手の交渉力について、
次のように書いています:
供給業者は、買い手に対して、価格を上げる、あるいは品質を下げるといった脅しをかけることで交渉力を行使することができる。そこで、威力を持つ売り手は、コスト増を自分の売値の増で取り返すことのできない弱い買い手業界から収益性を奪取することができるのである。
(中略)
われわれは、ふつう供給業者は他社と考えるけれども、労働力も供給業者、したがって多くの業界において威力を発揮するものと、認めなければならないのである。これについてはいくらでも証拠があって、非常に数少ない高度熟練社員、またはがっちりと労組に組織された労働力が、業界の潜在利益のかなりの部分を奪い取ってしまうことが多いのである。
マイケル・ポーター著「競争の戦略」(46〜48ページより抜粋、強調箇所は筆者によるもの)
一般的な話として、
「需要に対して供給量が少ないもの」
の供給業者は、パワーが強いです。
たとえば、
さいきんは子供の「療育」、
つまり、発達障害の支援で、
需要が伸びているそうです。
「療育を受けたいけど、
予約がいっぱいだから、
なかなか受けられない」
という世帯が多いそう。
供給が全然足りないので、
療育業者は高値をふっかけて、
ぼろ儲けすることも可能です。
希少資源の寡占化
さいきんの事例では、
「天然資源の権益」が
寡占されているようです。
たとえば、
EVで使われているレアメタルは、
リチウムは豪州とチリ。
コバルトはコンゴ。
といったように、
供給業者が一部に集中していて、
売り手の交渉力が強いみたい。
それもあって、
レアメタルを売る人は
ボロ儲けでしょうが、
レアメタルを買う人は
高値を払わされ不利です。
レアメタルに限らず、
エネルギー資源でも、
同じことが起きました。
エネルギー資源がなければ、
火力で発電できません。
電気が足りなくなると、
暖を取ることさえ難しく、
寒い冬を乗り切れません。
エネルギーは「生命線」なのです。
自分が生命線を握るのは良いですが、
他人に生命線を握られるとキツいです。
そんな中、2022年に、
ロシアがウクライナを侵攻し、
経済制裁が行われて、
エネルギー資源が枯渇しました。
資源価格が急騰したことで、
資源を大量に消費する会社は、
業績が著しく悪化しました。
火力発電を行う会社は、
電気代を引き上げるまで、
赤字に苦しみましたし、
電気代が上がってからは、
暖房や冷房で電気を大量に使う、
農家や小売業者が苦しみました。
儲からないビジネスの共通点
以上が、ポーター先生の、
「5つの競争要因」でした。
以下に、企業の業績が悪化する、
5つの要因を再掲しておきます:
・新規参入の脅威
マイケル・ポーター著「競争の戦略」目次より抜粋
・既存競争業者の間の敵対関係の強さ
・代替製品からの圧力
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
この世で最も儲からないのは、
◯ライバルが次々に参入し、
◯既存業者間の敵対関係も激しく、
◯質が高く安い代替品が豊富で、
◯買い手が少なく足元を見られ、
◯売り手も少なく足元を見られる。
というビジネスでしょう。
逆に、最も儲けられるのは、
◯ライバルがほとんど増えず、
◯既存業者間でも協力関係にあり、
◯代替品は質が低いか高価で、
◯買い手が多く引く手あまたで、
◯売り手も多く自由に選べる。
というビジネスだと思います。
ガッポリ儲かる会社を、
探し出したいときには、
独占禁止法で訴えられるような、
競争がない会社を探すと良いかと。
これらの視点を持っていれば、
「ラクに儲かるビジネス」を、
目利きできるはずなんで、
自分が働くときとか、
投資先を探すときとか、
参考になりそうですなー。
– 中原良太
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