From: 中原良太
自宅の書斎より、、、
昨日に引き続き、
きょうも
企業が内部崩壊する9つの原因
について、
ポーター先生の名作である
「競争優位の戦略」から
学んでいきます。
ポーター先生によると、
企業内部の活動は
9つに分類できるそうです:
【主活動】
・購買物流
・製造
・出荷物流
・販売・マーケティング
・サービス【支援活動】
マイケル・ポーター著「競争優位の戦略」(49ページの図より抜粋)
・調達活動
・技術開発
・人事・労務管理
・全般管理(インフラストラクチュア)
1〜7つ目については、
以下の記事をお読みください:
今日はこの続きで、
「人事・労務管理」について
特集します。
企業が内部崩壊する原因⑧〜人事・労務管理〜
ポーター先生は、
「競争優位の戦略」で、
人事・労務管理について、
次のように書いています:
人事・労務管理。これは、あらゆるタイプの社員を募集し、採用し、調達し、教育し、給与を払うことに関する活動である。(略)
人事・労務管理も、会社の競争優位に関係がある。というのは、この管理のよしあしによって、社員の熟練とやる気が左右され、採用や訓練のコストも変わるからである。
マイケル・ポーター著「競争優位の戦略」(55ページより引用、強調箇所は中原によるもの)
「どんな会社もヒトが大事」
ということですね。
中原個人としては
「企業分析をするときに
人事制度は超大事だけど
分析がめっちゃ難しい」
と感じます。
なぜなら、
本当に悪いことをしてる人は
なかなか正体を現さないからです。
決算資料を読んだだけで、
尻尾を掴めればラクですが
そうはいかないんですよね…。
とはいえ、
人事・労務管理の中には
「明らかにヤバいシグナル」
があります。
明らかにヤバい会社は
避けるのも簡単です。
だから、
まずはこういう「地雷」から
避けるのが良いと思います。
崩壊例①:腐った経営陣
もっとも分かりやすい例が、
「腐った経営陣がいる会社」
でしょう。
たとえば
「経営陣が会社を私物化し
僕ら株主達を搾取している」
会社です。
すこし前の例だと
「大王製紙事件」
とかが有名です。
大王製紙事件というのは、
会長が会社の資金を引き出して
カジノで使いまくった事件です。
詳しくはWikipediaの通り:
大王製紙事件(だいおうせいしじけん)とは、2011年に発覚した背任事件。日本の大手製紙会社「大王製紙」の創業家出身であり、当時の代表取締役会長であった井川意高が、2010年4月から翌年9月にかけて大王製紙のグループ会社から106億円にのぼる資金を不正に引き出し、井川個人がカジノで遊興する際の掛け金に流用した事件である。事件発覚により井川は会長を辞任し、後日大王製紙から刑事告発を受け、特別背任罪で逮捕された。
フリー百科事典Wikipedia, “大王製紙事件”(強調箇所は中原によるもの)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%8E%8B%E8%A3%BD%E7%B4%99%E4%BA%8B%E4%BB%B6
だいたいの優れた会社には
「自浄機能」が備わってます。
自浄機能というのは
「外部からの力ではなく、
自らで自分を浄化する能力」
のことです。
つまり、
「他人に言われてから
悪いクセを治すのでなく
自分で自分を律することで
悪いクセを治すことができる」
ということです。
良い会社には自浄機能がありますが、
悪い会社には自浄機能がありません。
なぜかというと、
「悪さをしたい人にとって
自浄機能は都合が悪いから」
です。
独裁国家で政治が腐敗したり
ワンマン社長の会社で
イエスマンが増えたり
悪さをしたい人がいる会社では
「人事・労働管理」の面で
おかしいことが起きます。
大王製紙ほど悪質じゃないですが
創業者が
敏腕経営者の穐田さんを追放し
株価を暴落させてしまった、
クックパッドも良い例です。
組織運営の原則のひとつに
「権限・責任一致の原則」
というのがあります。
これは、
「仕事に対する責任と
権限を等しくあるべき」
という原則です。
責任を取れない狭量なひとが、
大きな権限を取ってはいかん。
大きな権限をもたせるなら
責任を取れる器を持つ人に
任せるべきである。
というものですね。
政治家とかで腐敗が多いのは、
「国民の税金を有意義に使う」
という大きな責任に対して、
器の足る人材がなかなかおらず
権限ばかりが膨らんでしまうから
なのだと思います。
企業もそれと一緒なんで、
「あ、この人、器じゃないな」
と感じる人がトップの会社は
遅かれ早かれ、失速するかと。
崩壊例②:劣悪な労使関係
ほかにも分かりやすい例が
「労使関係が劣悪」な場合です。
いわゆるブラック企業です。
上場している会社の中には、
「好業績だけどブラック」
という会社もあります。
「従業員を搾取する」ことで
好業績を維持しているのです。
労使環境が劣悪な会社は
さまざまなパターンで
転落していきます。
たとえば、
・労働組合によるストライキ
・不満を抱えた社員達の裏切り
・ノルマ達成のための品質不正
といった形で現れます。
さいきんの例としては
アメリカの3大自動車メーカーは
大規模なストライキで苦戦しました。
本当に素晴らしい会社は
「厳しくてもやりがいがある」
モンでしょう。
「厳しいだけでやりがいもない
ただ従業員を搾取してるだけ」
の会社は先も知れているんで、
投資は避けるべきだろうなぁ…。
– 中原良太
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