From: 中原良太
自宅のリビングより、、、
1週間前まで、
「株の自滅パターン」
を特集してました。
この特集では、
チャルディーニ先生が書いた、
「影響力の武器」を参考にして、
投資家の「あるある」の、
7つの負けパターンを、
取り上げてきました。
その負けパターンが、
以下の7つです:
・返報性
ロバート・チャルディーニ著「影響力の武器[新版] 人を動かす七つの原理」目次より抜粋
・好意
・社会的証明
・権威
・希少性
・コミットメントと一貫性
・一体性
これらの7パターンを、
逆方向に返したものもまた、
自滅につながりやすいです。
そこで今日からは、
「株で自滅する裏パターン」
と銘打って、
「影響力の武器」の、
7つを反転させたものを、
特集していきます。
その7つが以下の通りです:
・仕返し
中原が作成(ロバート・チャルディーニ著「影響力の武器[新版] 人を動かす七つの原理」の7項目を逆転させたもの)
・嫌悪
・無名
・弱者
・コモディティ
・手のひら返し
・忌避
今日は1つ目の、
「仕返し」について、
取り上げていきます。
復習:株の自滅パターン①〜返報性〜
チャルディーニ先生は、
「影響力の武器」で、
次の説明をしています:
狭い範囲の話ではあるものの、この実験から浮かび上がってくるのは、私たちの身の周りにあるさまざまな影響力の武器のなかでも最も強いものの一つ、返報性のルールです。これは「他人がこちらに何かしてくれたら、こちらもそのお返しをしなくてはならない」というルールです。ある女性が親切をしてくれたなら、お返しに何らかの親切を返さなくてはいけません。
ロバート・チャルディーニ著「影響力の武器[新版] 人を動かす七つの原理」(30ページより抜粋、強調部分は筆者によるもの)
チャルディーニ先生によると、
恩返ししたいという気持ちは、
過大評価されやすいです。
だから、
「恩を感じている会社に、
投資して応援したい!」
といった理由で、
投資先を選ぶ人もいます。
ただ、恩返しには注意が必要で、
恩返しの気持ちは強過ぎるため、
損する投資につながりやすいです。
たとえば、
「お世話になった会社の株を、
高過ぎる価格で買ってしまう」
とか…。
返報性のリスクについては、
以下の記事でまとめました:
株で自滅する裏パターン①〜仕返し〜
「恩を施されたら返したい」
気持ちが強いのと同様に、
「害をなされたら返したい」
気持ちも生まれやすいです。
「恩返し」が魅力的なように、
「仕返し」も魅力的なんです。
「やられたらやり返す、倍返しだ!」
という半沢直樹みたいなアレです。
たとえば、
家族や友人と口喧嘩をすると、
「最後のひと言を自分が言いたい」
気持ちになりませんか?
これ、妻に言ったら、
「めっちゃ分かる〜!」
と爆笑されました😂
嫌味を1つ言われたら、
こちらも返したくなる。
どちらかが堪えないかぎり、
永遠に続いてしまうのです。
投資の神様の大失敗
「仕返し」で失敗した人と言えば、
投資の神様バフェットでしょう。
バフェットがまだ若かった頃、
バークシャー・ハサウェイを、
買収したのですが、
この買収の動機が、
バークシャーの創業者との取引で、
同意した価格を値切ったことでした。
約束を反故にしようとした、
創業者たちの不誠実な対応に、
バフェットはブチ切れました。
そして、
バフェットはバークシャーを、
怒りに任せて買収したんです。
当時の状況については、
Wikipediaの通りです:
1965年にバフェットは繊維業のバークシャー・ハサウェイの経営権を創業家との衝突の後に取得し、新社長にケン・チェイスを指名した。
(略)
1983年のバークシャーの持つポートフォリオは13億ドル程度の価値と評価されるまで成長していた。一方で本来の繊維業は不振を続け、1985年にバフェットはバークシャーの繊維部門の再建を断念して工場を閉鎖した。優秀な生え抜きの経営陣と資本を注ぎ込んだが、最後の9年間累計で売上が5億3000万ドル、1000万ドルの赤字であった。当時すでにアメリカにおいて斜陽産業であった繊維業を再建することはできなかった。
フリー百科事典Wikipedia, “ウォーレン・バフェット”(強調箇所は筆者によるもの)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88
バフェット自身、
投資家への手紙の中で、
バークシャーの買収は、
失敗だったと認めています。
もちろん私が犯した最初の過ちは、バークシャーの経営権を取得したことです。この企業――繊維製造業――が有望なものではないということは分かっていましたが、価格が安いように思えたので、買いたい誘惑に負けてしまいました。それ以前にこうした形で行った株式投資では、そこそこの成功を収めていました。ただ、バークシャーの経営権を取得した一九六五年には、この手法が最適なものではないことに気づきつつありました。
ローレンス・A・カニンガム著「バフェットからの手紙 第8版」(218ページより引用、強調箇所は中原によるもの)
バフェットの失敗から、
学べることとしては、
・怒りに任せた投資は危険
・優秀な人でも斜陽産業を立て直せない
という2点でしょう。
よく、損をして熱くなった人が、
「ナンピン買いして取り戻したい!」
と考えるのを見かけますが、
これも「仕返し」理論の、
1つの形でしょうね〜。
天才バフェットさえ失敗するんだから、
凡人の中原はもっと気をつけないと…。
– 中原良太
↓続きを書きました↓
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