From: 中原良太
自宅のリビングより、、、
マイケル・ポーター先生の、
「競争の戦略」によると、
企業の業績が悪化する、
主な要因は以下の5つです:
・新規参入の脅威
マイケル・ポーター著「競争の戦略」目次より抜粋
・既存競争業者の間の敵対関係の強さ
・代替製品からの圧力
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
1つ目と2つ目については、
以下の記事をお読みください:
今日は5つの環境要因のうち、
「代替製品からの圧力」
について取り上げます。
業績悪化の環境要因③:代替製品からの圧力
ポーター先生は、
「競争の戦略」で、
代替製品からの圧力について、
次のように書いています:
ある業界内のすべての企業は、代替製品を生産する他の業界と、広い意味で競争しつづけているのである。代替製品というものは、その業界の企業が適正利益をあげられる価格に上限を置くために、業界の潜在的利益を一定限度に抑えてしまう。代替製品の価値が価格に比して大きければ大きいほど、業界の収益への圧力がゆるぎないものになる。
(中略)
いちばん注意しなければならない代替製品とは、①現在の製品よりも価格対性能比がよくなる傾向をもつ製品、②高収益をあげている業界によって生産されている製品、である。
マイケル・ポーター著「競争の戦略」(41〜43ページより抜粋、強調箇所は筆者によるもの)
「企業が稼ぎうる利益の上限は、
代替製品によってフタをされる」
という考え方は、
クレイトン・クリステンセン先生も、
著書の中で言及してた気がします。
クリステンセン先生が提唱した
「破壊的イノベーション」も、
代替品の脅威の1つです。
自分たちが売っている商品が、
まったくの時代遅れになって、
売れなくなるんですよね。
テレワーク普及で大打撃を受けた鉄道各社
代替製品の脅威を語るなら、
「テレワークの普及によって、
大打撃を受けた鉄道各社」が、
さいきんの好例でしょう。
たとえば、
JR東日本(9020)は、
コロナ危機の影響を受けて、
2021年に大赤字をでした。
上の表は、2008年以降の、
JR東日本の業績推移です。
見れば分かるとおり、
コロナ危機があった、
2020年を境にして、
業績が悪化しました。
2023年には赤字を脱しましたが、
コロナ以前には回復していません。
業績が転落した理由は、
テレワークが普及したことで、
「わざわざ満員電車に乗って、
会社まで通勤する必要がない」
と知られてしまったからです。
業績の落ち込みとともに、
JR東日本の株価も下がり、
低いまま停滞しています。
テレワークが普及したいま、
鉄道各社が再起するためには、
「貨物」や「旅客」など、
新たに収益を確保する道筋を、
立てる必要があるでしょう。
コスパとタイパを考える
代替製品が恐ろしいのは、
「コストパフォーマンス」と、
「タイムパフォーマンス」で、
負けてしまう産業です。
鉄道各社に関して言えば、
満員電車で通勤する人たちに、
「テレワーク」と比べられると、
コスパもタイパも惨敗です。
昔ながらの「惰性」で、
何となく続いてきたものでも、
コロナ危機のような、
劇的な「きっかけ」があると、
急に廃れることがあるのです。
テレワークの他に挙げるなら、
「再生可能エネルギー」なども、
最近では下火な気がします。
ロシアがウクライナを侵攻し、
化石燃料が足りなくなったことで、
「高コストで非効率な再エネより、
まずは足元の電力を発電するために、
化石燃料を確保しないとヤバい!」
と動き出した国は沢山あります。
そんな中、もっとも低コストな、
化石燃料が「石炭」だったわけで、
2022年は石炭業界が賑わいました。
これと同じような理屈で、
さいきん、アメリカでは、
鶏肉が流行っているそうです。
牛肉とか豚肉とかと比べると、
鶏肉ってグラム単価が安いです。
グラム単価が安くなる理由は、
鶏を育てるのにかかる費用が、
牛や豚より安いからでしょう。
だから、
コストが安い石炭火力が、
有利なビジネスであるように、
「鶏肉を買って儲けてる会社、
鶏料理に特化した外食店などは
低コストで儲けやすそうだ」
と連想できます。
世の中には、
「コスパが高いけれど、
あまり知られてないもの」
がたくさんありますが、
こういうものに気付けた人が、
機会を掴めるんでしょうなぁ…。
– 中原良太
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