業績悪化の環境要因①〜新規参入の脅威〜

外部環境による失敗
この記事を書いた人

個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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自宅のリビングより、、、

バリュー投資の父と呼ばれる、
ベンジャミン・グレアム先生は、

「業績が悪くなる原因の多くは、
環境の変化によるものだ!」

と書きました。

このことについては、
前にも取り上げたのですが、

ここで気になるのが、
「環境の変化って何さ?」
という所でしょう。

この点については、
マイケル・ポーター先生の、
「競争の戦略」が名著です。

ポーター先生によると、

企業の業績が悪化する、
主な要因は以下の5つです:

マイケル・ポーター著「競争の戦略」(18ページより引用)

・新規参入の脅威
・既存競争業者の間の敵対関係の強さ
・代替製品からの圧力
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力

マイケル・ポーター著「競争の戦略」目次より抜粋

ポーター先生曰く、
競争によるリスク要因は、
この5つ以外にはないそう。

というのも、

会社が競争するときの、
「競争関係すべて」を、
網羅しているからです。

だから、
「自分の投資先の業績が、
悪くならないか心配だ!」
というときには、

この5つすべてを確認すれば、
網羅できたと考えて良いかと。

なお、網羅できているのは、
「競争関係」だけです。

たとえば、
「法規制で営業できなくなる」
みたいなリスクは、

載っていませんから、
注意が必要です。

今日は5つの環境要因のうち、
「新規参入の脅威」について
取り上げます。

業績悪化の環境要因①:新規参入の脅威

ポーター先生は、
「競争の戦略」で、

新規参入の脅威について、
次のように書いています:

ある業界に新規参入が起こるということは、生産キャパシティがふえ、一定の市場シェアを確保したいという意欲が発生し、しばしばかなりの経営資源が新たに投入されるということである。したがって、価格が低下するか、既存の業者のコストが高騰するかして、収益が低下する。

(中略)

新規参入の脅威がどれくらいあるかは、参入への障壁がどれくらいあるか、および、既存の業者が新規参入業者に対してどれくらいの反撃を起こすと参入者が予想するか、これによって決まる。障壁が堅固で、防備を強化した既存の業者からの鋭い報復が予想される場合には、新規参入の脅威は、当然、小さくなる。

マイケル・ポーター著「競争の戦略」(21〜22ページより抜粋、強調箇所は筆者によるもの)

ビジネスというのものは、
「商品を欲しがっている客」と
「商品を売りたい会社」が、
マッチングして成立します。

これは男女関係でいう、
カップルみたいなもんです。

男の側からすると、
「男は自分ひとりしか居ない」
「でも女は山ほど周りにいる」
ハーレムが理想的で、

競争せずとも、
よりどりみどりですし、

何人か男が増えたところで、
問題は生じないのでしょう。

しかし、

「男は山ほど周りにいる」が
「女はひとりしか居ない」なら、

一夫一妻が前提ならば、
ヲタサーの姫のように、
過当競争に陥ります。

YouTuberとスマホゲームの過当競争

すこし前に、
「人気商売はめっちゃ難しい!」
という記事を書きました。

この記事では、

YouTuberの事務所である、
UUUMの業績が悪くなって、
転落した様子をまとめました。

UUUMのチャートはこんな感じです↓

UUUMの月足チャート(引用元:IR BANK)

ユーチューバーは参入障壁が低いので、
新しい人がどんどん出てきますから、
大御所以外は戦々恐々としてます。

いまヒットしている人でも、
来年も人気を維持できるか?

というと、分かりません。

すでに上場している芸能事務所は
アミューズとエイベックスの2社ですが、
その両方が、いまや成長してません。

「いまの人気が、今後の人気とは限らない」
「ライバルが多く、維持することが難しい」
「類似他社の業績も、長いこと停滞してる」

といった3点を考えると、

UUUMの業績低迷は、
「まあ、そうなるだろうな」と、
先が見えてた結末な気がします。

UUUMと似ている理由で、
「スマホゲームのメーカー」
の競争も厳しいと思います。

パソコンは誰でも買えるし、
プログラミングも学べるので、
ゲームの参入障壁も低いです。

コンシューマー機なら、
まだ障壁は高いかもですが、

パソコンやスマホで動くゲームは、
競争が激しすぎてもう大変です。

スマホの人気アプリを見ても、
いつもランキングは変わってて、

「昨日の勝者は明日の敗者」
となるリスクが大きいです。

他人の競争で旨みを得る

とはいえ、

任天堂やApple、Googleのように、
厳しい競争を逆手に取ることで、
成功している会社もあります。

これらの成功している会社に、
共通していることといえば、

「自分がプラットフォームになり、
仕入れ元に過当競争をさせる」

というエゲつなさにあります。

ゲームメーカーが競争して、
良いゲームを作るほど、

ハードを作っている、
任天堂やAppleは、

ソフトが充実するので、
儲けが増えていきます。

「YouTuberに未来を感じるなら、
UUUMではなくGoogleを買う!」

「スマホゲームに未来を感じるなら、
メーカーではなくAppleを買う!」

というのが正しいんでしょうな。

人間の逃走本能からして、
競争するのって楽しいんで、

YouTuberになるとか、
ゲームメーカーになるとかは、
スリリングで楽しそうです。

最終的に商品を受け取る顧客も、
業者が競争した方が得するんで、

だからこそ、

自由競争による資本主義は、
うまくいくんでしょうね。

しかし、

「儲ける」という点で考えると、
「競争する側」に回るよりも、
「競争させる側」に回るほうが、

よっぽど得なんですよねー…。

– 中原良太

↓続きを書きました↓

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