From: 中原良太
自宅の書斎より、、、
ベンジャミン・グレアム先生の証券分析では、
「衰退の原因の多くは環境の変化だ!」
と書かれていましたが、
ジム・コリンズ先生は会社内部に目を向けて、
「5段階の危険シグナルがあるぞ!」
と説明しました。
その5段階は以下のとおりです:
第一段階:成功から生まれる傲慢
ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」目次より抜粋
第二段階:規律なき拡大路線
第三段階:リスクと問題の否認
第四段階:一発逆転策の追求
第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅
1〜3段階目については、
ここ3日間の記事をお読み下さい:
きょうはこの続きで、
「衰退の五段階」の4つ目、
一発逆転策の追求を取り上げます。
第四段階:一発逆転策の追求
ジム・コリンズ先生は、
「ビジョナリー・カンパニー③」で、
「一発逆転策の追求」について、
以下のように説明しています。
第三段階にでてきた問題とリスク・テークの失敗が重なって表面化し、企業の急激な衰退が誰の目にもあきらかになる。このとき決定的な問題は、指導者がどう対応するかである。一発逆転狙いの救済策にすがろうとするのか、それとも当初に偉大さをもたらしてきた規律に戻ろうとするのか。一発逆転策にすがろうとするのであれば、第四段階に達しているのである。一発逆転をもたらす「救世主」だとされるのは通常、ビジョンを掲げるカリスマ的な指導者、大胆だが実績のない戦略、抜本的な変革、劇的な企業文化の革命、大ヒット狙いの新商品、「ゲームを変える」買収など、さまざまな特効薬である。劇的な行動をとったとき、当初は業績が良くなったようにみえるかもしれないが、長続きしない。
ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」(50ページより抜粋、強調部分は筆者によるもの)
いやあ、コリンズ先生、
なかなか厳しい指摘です。
冷静な経営者であれば、
業績が好調だった頃を思い出して、
元に戻そうとするでしょうが、
負け犬根性が根付いた人たちは、
「一発逆転パンチ」を狙って、
新しいことをしたがるんですよね。
もはややけっぱちです。
敏腕経営者を追放したクックパッドの末路
一発逆転策を追求して、
見事に転落した会社としては、
クックパッドが好例かもです。
同社は2015年まで急成長しましたが、
2016年に創業者が敏腕経営者である、
穐田誉輝さんを追放してから転落しました。
同社が赤字転落する直前の、
2021年2月の決算説明資料が、
「ああ、なるほどね…」
という感じでした。
このページを筆者なりに意訳すると、
「私たちはやりたいようにやります!
デカいことするから口出しすんな!」
という感じでしょうか。
この決算説明資料を出したのち、
クックパッドは赤字転落しました。
2015年までは絶好調だったのに、
見事な崩壊っぷりですよね。
創業者が追い出した穐田さんに頭下げて、
戻ってきて貰えば、ふたたび成長軌道に、
戻って来られたんじゃないでしょうか。
まあ、
頭を下げたところで、
穐田さんに断われて、
ダメかもしれませんが…。
もはや神頼みしかできない状態
一発逆転策を追求する人を見ると、
ジェフ・ベゾスがかつて言った、
以下の言葉を思い出します:
これは本当に大切なのですが、継続して実験を行わない会社や、失敗を許容しない会社は、最終的には絶望的な状況に追い込まれます。会社の命運が尽きて、もはや神頼みしかできない状態に陥ってしまうのです。一方、常に賭け続けてむしろ賭け金を引き上げていくような会社は、実は社運そのものを賭けるようなことはしないので、勝ち残ります。社運を賭けるなんてことが、うまくいくはずはありません。そんなことをするときは自暴自棄になっているはずですから、最後まで決して手をつけるべきでない領域なのです。
S・K・アンダーソン著「ベゾスレター」(66ページより抜粋、強調部分は筆者によるもの)
ジェフ・ベゾスが言うには、
一発逆転を狙いたくなるような、
厳しい状況に陥ってしまう前に、
いろんなことを試行錯誤すべし!
ということなのでしょう。
大成功した会社ほど、
「うまくいったことを続けりゃ良い」
という守りに転じやすいんですが、
この守りが行き過ぎてしまうと、
時代の変化に取り残されてしまい、
衰退しちゃうってことなんでしょう。
厳しい規律を守りながら、
時代の変化にも取り残されない。
この2つを両立するのが、
めっちゃ大変なんですよね…。
自分自身、年を取るほど、
「守りを言い訳に衰退している」
気がしてて怖いです。
気をつけないとイカンなぁ…。
– 中原良太
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