From: 中原良太
自宅の書斎より、、、
ベンジャミン・グレアム先生の証券分析では、
「衰退の原因の多くは環境の変化だ!」
と書かれていましたが、
ジム・コリンズ先生は会社内部に目を向けて、
「5段階の危険シグナルがあるぞ!」
と説明しました。
その5段階は以下のとおりです:
第一段階:成功から生まれる傲慢
ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」目次より抜粋
第二段階:規律なき拡大路線
第三段階:リスクと問題の否認
第四段階:一発逆転策の追求
第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅
1段階目については、
きのうの記事をお読みください:
きょうはこの続きで、
2つ目の段階である、
「規律なき拡大路線」
について特集します。
第二段階:規律なき拡大路線
ジム・コリンズ先生は、
「ビジョナリー・カンパニー③」で、
「規律なき拡大路線」について、
以下のように説明しています。
第二段階の企業は…(略)…偉大な実績をあげられない分野に規律なき形で進出するか、卓越性を維持しながら達成できる以上のペースで成長するか、この両者を同時に行う。組織の成長が早すぎるために、主要なポストに適切な人材を配置することができなくなったときは、衰退への道を歩みはじめている。
ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階」(48ページより抜粋、強調部分は筆者によるもの)
意外なことに、コリンズ先生は
「成長が早すぎる会社はダメ」
と指摘しています。
成長投資なんかをしていると、
「業績がめっちゃ伸びた=すげー!」
と考えてしまいがちなんですが、
伝説のファンドマネージャー、
ピーター・リンチが言うには、
「成長率が30%を超える会社は、
基本的に疑ってかかるべき」
だそうです。
出店し過ぎた「いきなりステーキ」
きのうの例にも上げましたが、
出店が早すぎて失敗したのが、
「いきなりステーキ」です。
飲食チェーンには、
「600店舗の壁」と呼ばれる、
経験則があるのですが、
店舗展開を急ぎすぎると、
いきなり業績が悪化して、
減損・退店が続きます。
「いきなりステーキ」以外にも、
「和民」や「鳥貴族」といった、
居酒屋も同じパターンを辿りました。
RIZAPは多角化=多悪化に
出店ペースが早すぎる以外にも、
M&Aで失敗するケースもあります。
その好例がRIZAPグループです。
同社は再建の難易度が高い、
斜陽産業に属する企業を買収し、
肥大化したのちに赤字転落しました。
このことについて、
東洋経済ONLINEは、
次のように書きました。
減量させることが得意のライザップが、暴食のような買収攻勢で失敗するとは何とも皮肉な話だ。
東洋経済ONLINE, “ライザップ 買収戦略失敗の真因”
https://toyokeizai.net/articles/-/568596
再びピーター・リンチの言葉ですが、
「多角化は多悪化に終わることが多く、
疑ってかかる必要がある」のだそう。
もともとM&Aが上手な会社が、
ゆっくりと成長するならまだしも、
そうでもない新興企業が、
次々にM&Aをしてるなら、
危険信号と読み取るべきかも。
◆ ◆ ◆
超スピードで成長してる会社は、
ビジネスモデルも社長も凄く見えて、
株価が急騰することも多いです。
しかし、
ジム・コリンズ先生によれば、
超スピードで成長してる会社ほど、
実は崩壊するリスクが高いみたい。
日進月歩という言葉もあるように、
ゆっくり着実に伸びている会社に、
投資するほうが良いってことかぁ。
– 中原良太
↓続きを書きました↓
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